五月の雨

雑記

2017.10.25

 

芥川の『秋』を読みました。芥川の作品集を始めの頁から順番に読んでいて、ちょうど本日差し掛かったのがこの作品。作品内の季節と現実の季節が重なることは(それが意図していないことであれば一層)、大変嬉しいことです。その時その時の季節を、今であれば、秋の冷たい澄んだ空気や、長い月の明るい夜、寂寞とした雰囲気を如実に感じることができます。

 

芥川は心情描写に本当に優れている作家だと思います。如何して複雑で曖昧な、当の本人ですら形容し難い感情に、ぴたりと嵌る言葉をあてることができるのか。読んでいて溜息がでることが、屢々あります。だって、プラスでもなければマイナスでもない感情、或いは、プラスでありながらマイナスでもある感情を、読者の頭にすっと入り込むような言葉で表現なさるのですから。

 

祝福とともにある羨望、そこに匿れる妬みや嫉み。自覚したときの自分の浅ましさ、やるせなさ、そういった自責の念に駆られることへの諦め。ただでさえ一つの事象に対して抱く感情がこんなにもあるのですから、それらを丁寧に分析して、あんなに相応しい言葉で書き現すことが出来るようになるには、一体どんな訓練が必要なのでしょうか。

 

僕には到底出来ないのです。それでも出来るだけ彼の作品に触れて、少しだけヒントを貰えたらいいな、と思います。

 

 

 

皐月